ふ た り  ©2004

ずっとずっとむかし
とても若かったころ
あたしとあのひとは出会った
まわりには誰もいない高い木のてっぺんで
細い枝にしがみつくさびしいふたごの葉っぱのように
ふしぎなほど仲良くなった

見えるのは空だけで
青なら青
くれないならくれない
暗闇なら暗闇
同じ色に染められそっとよりそう
おもいきりわがままで
風が吹けば声を荒げ
雨にうたれれば涙をぬぐいもせず泣き
晴れた日は鼻歌を歌う

こぶしで胸をたたきののしりあったあと
笑いながら頬に頬をよせて
眠りにつこうとしたとき
季節がかわり
あたしとあのひとはばらばらになって
高い梢から舞い始めた
さようならも言わず
目をあわせることもなく
偶然に支配されるカオスの中を
ふたごの葉っぱはべつべつに落ちてゆく

そのようにあらゆる木々の梢から舞い落ちる
無数の葉っぱの一枚になればもう
誰にも見分けられない
ただよい踊り疲れまっさかさまにダイブしながらも
同じ座標を占めることはついになく
非線形の残像を残し
無形のシンボルとして色あせたのに

ながいながいときを通過して
着地点で
あたしとあのひとはまた出会った
まるでふたごの葉っぱの形で
ふたりは地面に降り立ったのだ

ありえない奇跡が起こるとき
世界はため息さえ許さない静けさにつつまれる
知ったのはそのようなことだけだったけれど
あたしとあのひとはみたされた
じゅうぶんに
文字通りじゅうぶんに
じめじめした大地の片隅で誰かに踏まれながらも
ふたりは二度と
はなれない

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